日本のバレエ団や海外のバレエ団でも今はバレエは踊れて当たり前で、有名な振付家のコンテンポラリーダンスをどれだけ自然に踊れるか?というのがオーディションに受かる条件となっていることはもう話したことを覚えてますか?
ただ実際、日本のバレエ教室だけでバレエをどんなにうまく踊っているだけでは、コンテンポラリーダンスってうまくならないですよね?バレエは決まったフォームがありそれができるように筋肉も作られてしまうので・・・。可動域もバレエの動きに合わせて作られてしまいます。
また日本のコンテンポラリーのレッスンは海外のバレエ学校で行われている基礎ではなく、すでに動き中心の振付が多かったり、どのように動けばいいのかわからないのに自由に動いていい、と言われたりしませんか?
コンテンポラリーダンスもバレエのレッスンと同じように自由に動くための基礎の動きやインプロができるようになるためのアトリエクラスとかがあるんです。いきなりワークショップに参加しても簡単な動きについていけない、こんな悩みを持っていらっしゃる生徒さんが多いんです。
アーキタンツやオープンクラスが主催するコンテンポラリーダンスのワークショップの入門や初級レベルにでても、ついていけないバレエダンサーも多い。見ていてわかってしまいます・・・。
私自身、フランスのバレエ学校でコンテンポラリーダンスを習う前は全く踊れなかったのです。なんで入門クラスでも踊れないのか?追求しました。原因が分かれば対策が十分できます。
さてそれでは、バレエベースのコンテンポラリー作品について、巨匠振付家の紹介と作品を見た後に、どのように具体的に西ヨーロッパのバレエ学校でコンテンポラリーダンスが踊れるようになるか基礎の最初の部分を探っていきましょう。
コンテンポラリーダンスとは?語源と発祥
コンテンポラリーダンスは第2次世界大戦後ヨーロッパやアメリカで現れた新しい肉体表現の踊りの総称になります。
La danse aujourd’hui nommée danse contemporaine naît en Europe et aux États-Unis après la Seconde Guerre mondiale. Elle fait suite à la danse moderne et débute, pour certains, avec les courants postmodernistes.
ウィキペディアより
60年代にアメリカの振付家カニングハムやとリーシャ・ブラウンがコンテンポラリーダンスの先駆け者となり代表的な作品を発表しています。70年代後半にフランスでは<新フランス式ダンス>と呼ばれるコンテンポラリーダンスが発展し、同時にドイツではピナ・パウシュが劇場ダンスとして彼女の拠点地である国立劇場で次々と上演されるようになったことがコンテンポラリーダンスが大きな発展へのきっかけとなっています。
il est admis d’en limiter le concept à des chorégraphes et à des œuvres qui relèvent du champ de la danse moderne, d’après 1960, à travers deux importantes figures que sont les chorégraphes américains Merce Cunningham et Trisha Brown mais surtout de ses prolongements et des travaux de leurs élèves. Ainsi en France, à la fin des années 1970, s’est développée la « Nouvelle danse française » sous l’impulsion notamment d’Alwin Nikolais qui crée le Centre national de danse contemporaine et en Allemagne se développe la danse-théâtre avec les travaux de Pina Bausch
wikipedia
このように、バレエとはちがい自由な動き・思想から生まれた踊りがコンテンポラリーダンスといわれています。
ただしもともとコンテンポラリーダンスは海外の国公立のバレエ学校でプロのバレリーナになるための訓練を受けています。海外の振付家の作品を観客にみせるレベルはプロのバレリーナのレベルであるからこし自然で美しい動きに対応したり、コレオが求めるレベルの踊りができるという常識があります。
このためコンテンポラリーに上級以上のバレエ経験が必要となっている理由です。
バレエベースのコンテンポラリーの有名な振付家まとめ
ウィリアム・フォーサイス
- William Forsythe
- 出身 アメリカのダンサー
- 1984年以降~ドイツのフランクフルトバレエ団の芸術監督であり振付家
自身のフォーサイスカンパニーの主催者 - 主な作品 The Second Detail、In the Middle, Somewhat Elevated他
ドイツ国内外、パリオペラ座の演目としてもよく上演されています。 - 特徴 映像や音を駆使した視覚芸術とバレエの動きを元に創られた作品が多く、バレエダンサーの身体をシャープに美しく魅せる振付が特徴的です。
フォーサイスの有名なコンテンポラリー作品動画
イリ・キリアン
- Jiri Kylian 1947年3月21日生まれ
- 出身 チェコ、バレエダンサー、振付家
- ドイツ シュツットガルトバレエ団でバレエダンサー、振付家として活躍後、オランダで自身のカンパニーネザーランド・ダンス・シアターを立ち上げ芸術監督兼振付家として就任。
- 主な作品 La petite mort、Symphony in D、Bella Figura、Kaguyahime
- 特徴 バレエのように舞台背景にこだわらなく、ダンサーの肉体美を極限までに魅せる振付が特徴。作品中に官能的な動きも醸し出し、人間的なテーマを動きに映し出す振付が独特です。
入り・キリアンの有名なコンテンポラリー作品動画
マシュー・ボーン
- Matthew Bourne、1960年1月13日生まれ
- 出身 イギリス、振付家
- 1986年、自身のコンテンポラリーダンスカンパニーである、アドヴェンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズを設立
- 主な作品、現代版コンテンポラリーダンス作品の白鳥の湖、くるみ割り人形、他
- 特徴 バレエの古典作品を現代風にアレンジした作品で、シャープな感じの踊りが多いのが特徴
マシュー・ボーンの有名なコンテンポラリー作品動画
マッツ・エック
- Mats Ek、1945年4月18日生まれ
- 出身 スウェーデン、振付家
- 主な作品・特徴 独特な解釈の現代ダンス作品のジゼル、眠れる森の美女、他、パリ・オペラ座で上演回数の多いアパルトマンも有名です。
精神病のテーマに性的なイメージをする舞台背景を使用し、美しいイメージの踊りからほど遠いダークでぞくぞくすうような人間の奥底に潜むダークな感情を振付に表現している作品が特徴的です。
マッツエックの有名なコンテンポラリー作品動画
ピナ・バウシュ
- Pina Bausch(芸名)、Philippine Bausch(本名)、1940年7月27日生まれ
- 出身 ドイツ、振付家、舞踊家
- ニューヨークのジュリアード音楽院ダンスコースに留学後、ニューヨークのメトロポリタン・オペラ・バレエ団でバレエダンサーとして活躍
1962年ドイツのフォルクヴァンク・バレエでソリストとして活躍中、1969年には同カンパニーの芸術監督に就任。1973年、ドイツで自身のカンパニー、ヴッパタール舞踊団の芸術監督兼振付家として活動。 - 主な作品 春の祭典、七つの大罪、カフェ・ミュラー、カーネーション、他
- 特徴 演劇作品をダンスに採り入れた融合作品ともいわれ、バレエダンサーならではの身体的美が舞台空間でより強調された作品が特徴的です。
ピナ・パウシュの有名なコンテンポラリー作品動画
アクラム・カーン
- Akram Khan 1974年7月29日生まれ
- イギリス出身、ダンサー、振付家
- 主な作品 ジゼル他
- 特徴 バングラディッシュの移民のため幼少期からインド伝統のダンス<カタック>を習ったことが後の彼の振付に深く影響を与えています。コンテンポラリーダンスの中でも彼ほど東洋独特の踊りとヨーロッパのダンスを融合させた味わい深い振付作品は他に見ないです。彼の作品はシルヴィ・ギエムによって世界的に有名になりました。
アクラム・カーンの有名なコンテンポラリー作品動画
オハッド・ナハリン
- Ohad Naharin 1952年6月22日生まれ
- 出身 イスラエル
- 主な作品 Decadance、Sadeh21、the Young Ensemble、他
- 特徴 日本でも知っている人が多い、イスラエルのダンスカンパニーである<バットシェバ・カンパニー>の元芸術監督。22歳以降、バットシェバ舞踊団でダンサーとして活躍。ダンスはマーサ・グラハムのダンス教育を受けたため、バレエと異なり重力を感じる<重さ>を感じさせる振付が特徴的です。
オハッド・ナハリンの有名なコンテンポラリー作品動画
ナチョ・ドゥアト
- Nacho Duato 1957年1月8日生まれ、ダンサー、振付家
- 出身 スペイン
- 主な作品 Multiplicity、Por Vos Muero、Jardi Tancat、他
- 特徴 ベジャール・バレエ学校やアルヴィン・エイリーダンス学校で舞踊を習った影響と、キリアンの下でコンテンポラリーダンスの振付をサポートしていた実績があるため、巨匠と呼ばれるコンテンポラリーダンスを上手くミックスさせている振付作品が見られます。
ナチョ・ドゥアト の有名なコンテンポラリー作品動画
バレエを習うだけではコンテンポラリーを自由に踊れない原因?
バレエやっている人がコンテンポラリーダンスをうまく踊れない原因の一つとして、クラスを受けると必ず先生がいう「もっと自然に体を動かす」という意味が体でどう表現していいかわからないからということが大きな原因になっています。
私自身この「自由に体を動かす」という言葉を取り違えていた通り、「何も考えずに体を思う通りに動かす」という意味にとらえているのではないでしょうか?
これが自然にできるレベルになるとインプロ(即興)も楽しくなるのですが・・・。
自由に体を動かすときにも、コンテンポラリーを踊る時の「自分なりのルール」を決めたほうがぐっと踊りやすくなることに気づきました。
自分なりのルールが曲者。
バレエを習っている人がコンテンポラリーを踊れるようになるためのコツ
バレエ学校ではクラシックの美しい動きを表現するにあたって、規定の美しいフォーム、アンディオールが絶対条件ということは知っていますよね?
↑これを習得するために型にはまった
フランスのコンセルヴァトワールや実際にカンパニーのレパートリーやインプロのワークショップにでた経験からつかんだものなんですが、やはりコンテンポラリーダンスを踊る前に基礎的な法則というものを習う必要があります。
↑これを習っておくと、実際のワークショップでも自然に体が動くようになります。インプロでも、ただ何も考えずに即興で踊るのではなく、自分の中で1つか2つルールを決めてから挑むと踊りやすいです。
結論としてこの「自然に踊れる」きに対してコンテンポラリーダンス初心者は意識が全くないままゼロから学ぶ事になるため、動きにかなりぎこちがなく、レッスンについていけない。
ただバレエのレッスンと同じようで、バレエに慣れている人ほどコンテンポラリーダンスの自由すぎる体の使い方や動きの振り付けを覚えるのが難しいんです。
私なんかその場ですぐになんて覚えられませんよ。何度も振り忘れちゃう。だから動画で自撮りして振り写しの映像を自宅で見ながら覚えなおします。
これはカンパニー時代のときも相変わらず覚えが一人悪かったです。何度も振りを覚えなおす。そういうことで「自分なりの動きの変化」ができてくる時があるんです。
ある一定の時間踊りこむと、振りが体の中に入り、自由に体を使うことができるようになる瞬間があります。
だから丁寧に動きを教えてもらわないことを想定して、自撮りを設定しておいて、自宅や自主練でその振り付けをものにする!
時間がかかるけど一つずつそうやって振り付けを自分のものにしていけば、レパートリーが増えていきますよ。
バレエの引き上げはコンテンポラリーに必要ない
そもそもバレエで体を引き上げる訓練をしていて自然に体を軽く使うことが癖になっている状態からすぐにコンテンポラリーダンスを体で理解しようと思ってもうまくできない。
それぐらいバレエとコンテンポラリーダンスって体の使い方一つから全く違う。
では何がどう違うのか?ちゃんと基本から理解できてます?
口で理論を説明するより、まずコンテンポラリーダンスを習っている小さなこどもさんの保護者の生の感想を聞いてみましょう!
レッスンの感想です♡
自由に表現する。
体で伝える。
難しい事なんだな~と思いながら見ていました。が、子供達はみんな楽しそうで緊張した様子もありましたが、バレエのレッスンの時には見ない笑顔がたくさん見れて楽しかったです。
娘は、どんな事するんだろう。と不安があったようですが、少し緊張したけど、楽しかった~♪と言って、こんな事もすればよかったかな?
と、帰ってきてから体を動かしていました。
また次回も参加したいと思いますので、よろしくお願いします‼︎
こんにちは。
コンテンポラリーの感想です。結論からいいますと
二人とも大満足❗次はいつ(!?)ってな感じです。
実は家でよくふたりで踊っているんです。姉が振り付け、衣装、演出(監督)で 創作ダンスしてます。
恥ずかしがっていたのがちょっぴり残念でしたが ホントに楽しかったみたいです。
次もぜひ参加したいと思います。
(参考 横須賀でヨガとリフレクソロジー、キッズコンテンポラリーダンスを教えている教室の保護者の感想より一部抜粋 https://ameblo.jp/michi-dance-yoga/entry-12068479749.html)
どうでしょう?
振り付けを覚える、体に叩き込むということよりも、音楽聞いて子供なりに自由に体を動かして、楽しんでいる様子がうかがえますよね?
バレエだけ習っている人が中学や高校生から、また大人からコンテンポラリーダンスを習うのとは違く、こどもは純粋に音を聞きながら自分なりに体を動かす=自由に思った通りに動かすことができるから、充実感があり楽しかった!またやりたい!という気持ちがわくんです!!
これが逆に、有名なダンサーの振り付けやワークショップをいきなり受けちゃうと、入門や初級レベルと書かれていても、コンテンポラリーダンスを楽しめない、嫌いになってしまう原因。
余談ですが、偉そうに(笑)?言っている私自身も実際にコンテンポラリーダンスと出会ったのは、フランスにバレエ留学したときです。
アメブロのプロフィールを見てもらえばわかりますが(https://profile.ameba.jp/ameba/balletcentreazabujyuban/)バレエ留学したのはかなり遅く24歳の時でした・・💦だから今のバレエ留学を目指している生徒さんや、実際にバレエ教室でコンテンポラリーダンスを習っている人たちより現代舞踊とはかなり遅い出会いです。
私も実際にフランスで初めてコンセルヴァトワールでコンテをやり始めて、かなり敷居が高く、踊れない、振りが覚えられない、体が動かない・・こんな自己嫌悪でコンテのクラスが嫌で嫌でたまらなかった・・・
バレエを習っている人がコンテンポラリーを踊った感想・口コミ
問)コンテンポラリー・ダンスの第一印象は?
*難しいと感じました。バレエの動きに慣れているのでコンテンポラリーの動きに慣れません(汗)。
*初めてコンテを観たときは「何を表現しているのかわからない。けど体全体をあんなに使えるってすごい!」バレエとは違って型にはまらず自由に、そしてダイナミックな踊りにとても興味を持ちました。
自分が初めてコンテを踊る側になったときは、バレエとは違う体の使い方にとても苦戦しましたが、自由に表現ができるコンテが好きになりました。
*バレエの動きとは全く異なる体の使い方で最初はすごく戸惑いました。型が決まっているバレエに対してコンテンポラリー・ダンスは自由で開放的になる必要があり、そこが難しいと感じてすぐに苦手意識を持ちました。
*「私、なんで床に転がっているんだろう。。。」最初の印象です。訳が分かりませんでした!毎日あざが出来るし、いつも上に引き上げるバレエとは程遠くて、全く身体が動きませんでした。
*コンテンポラリー・ダンスの中にChoreography(振付)とかImprovisation(即興)というクラスがあるのですが、先生の仰る意味が理解できず、ぜんぜん出来ませんでした。
英語は分かるのですが、何をすれば良いのか、全く分からずイギリス人のクラスメイトがどんどん出来ていくので、とても焦りました。
(参考 現役イギリス・バレエ留学生に聞く! 「コンテ、やっといた方がいいよ!」Vol.1 ~英国コンテンポラリー https://thewells.co.jp/blog/1060)
バレエ留学やオーディションで必要なコンテンポラリーダンスの練習方法
自分自身の経験に基づいていますが、バレエ団のオーディションでは他人より優れているきらめきを(オーラ)とでもいうのでしょうか?それを披露するのにコンテンポラリーダンスが自然に踊れることはかなりポイントになります。
特にヨーロッパのバレエ団ではね。
私がオーディションを受けまくっていたドイツやフランスのバレエ団のオープンオーディションでは、最後まで残ったバレエダンサーにカンパニーのレパートリーのコンテ作品の一部の振りうつしがありました。
振りもすぐに覚えて正確に動ければ問題ないのですが。
違う振りでもさらっと自然に何となく踊りこなしてしまえば、「このダンサーインプロもできる」というように目をつけてくれる場合もあります。
そうなるためにも、自分なりのルールをコンテを踊る前に速攻決めてしまうのがポイント!
かんたんなルールほど体が動きやすいのでベターです。
私自身がフランスのコンセルヴァトワールやフランスのバレエ団で踊っていた即興インプロの準備段階で動けるようにテーマを1つ、複数組み合わせてそのテーマを念頭に置いて動いてみることで、インプロがスムーズに踊れるようになっていきます。
例えば次のようなイメージをしながらテーマに入れると動きやすい一例になります。創作やインプロだけでなく、コンテンポラリーダンスの振付にはこういたイメージやテーマに合わせた動きを合わせて完成させる手法を取り入れています。
- 操り人形の動き
- ボックスや三角をイメージして体のパーツを点や線、空間にくっつけたり話したり、脱力したり他
- 動く正面の転換:正面をどこにするかによって動ける範囲内で動く
- 朝起きて食事するまでの一連を体の部分を使って表現する
- 体のあらゆるパーツを使って文字を書く
- 対称になっている相手の動きを真似して動く
- 重い野菜を畑から盗んで運ぶ動きをイメージして動いてみる、etc…
これだけでピンとくるバレエダンサーはかなりコンテンポラリーダンスを得意とするプロのバレエダンサーなんじゃないかな・・?
上記が普段のコンテンポラリーダンスのアトリエクラスでインプロですぐにできるように訓練しておけば、多少の振り移しをミスしても問題ないし、オーディションでのインプロや作品を作るコレオ側になってもヨーロッパの高い水準のコンテンポラリーダンスが踊れるようになりますよ!
少なくとも上記の詳しい動きはここではシークレット(笑)。日本のコンテンポラリーダンスは日本独特のタイプの踊りもあるため、留学や海外のバレエ団で活躍したいと考えている方は、海外のコンテンポラリー作品を常に研究されていらっしゃるダンサーや先生に習うことで上達していきます。