海外のバレエ学校では10代の男性も多く学んでいます。もし将来プロのバレエダンサーになりたい場合、留学したほうがいいのかどうか?男の子の将来は生活をしていけるのかどうか?不安に思う保護者の方もいらっしゃいます。今回はこのような特徴も含め、若い男性に限って留学のメリットとデメリットをお伝えしていこうと思います。
バレエで男性が生活していくことができる?
バレエ留学を得て男性がバレエダンサーで日本で活躍することは人数的にまだまだ少ないため、重宝されているのが現状です。これは海外のバレエ団でも同じような現象がおきています。
ただバレエダンサーとして踊りを追求していくのであれば、日本ではなく海外のバレエ団に所属して経験を積んでいくことでいろいろな舞台、客演、いろいろな作品が踊れる楽しみがあります。
また海外の国公立のバレエ団であれば生活の保障もある程度安定しているため、通常の生活~高所得者の一部になれるバレエダンサーもいらっしゃいます。
(高所得者はバレエ団のソリスト以上の方々で、ほんの一部のバレリーナに限ります。)
海外のバレエ団で働くバレリーナ、バレエダンサーの年収
国の生活水準、経済状況に応じて年収のレベルは異なってきます。例えば世界の最高レベルのバレエ団の一つパリ・オペラ座の年収はざっとこのような感じです。↓
Un danseur étoile de l’Opéra de Paris (Palais Garnier ou Opéra Bastille) gagne entre 3500€ et 7000€ net par mois, selon qu’il est en début ou en fin de carrière (source). Un danseur étoile peut aussi toucher un cachet d’environ 10.000€ par représentation à l’extérieur (gala).
参考⇒
パリ・オペラ座の年収は2022年の時点で一番下のランク、カドリーユは3500ユーロ(約500万円)、トップのエトワール主役で7000ユーロ(約100万円強)となります。
またスジェ以上、ソリストやエトワールの場合、オペラ座以外のバレエ団のガラ公演へ出演の場合、個人契約ではなくオペラ座劇場契約の成立後、1ガラ約10000ユーロ、約150万円ほどの特別ギャラになります。



契約は個人ではできず、かならず所属しているパリ・オペラ座劇場契約となるため自由に出演希望する舞台には立てないといった、バレリーナ側のジレンマもあります。
日本のバレエ団で男性ダンサーの年収
日本のバレエ団では社会制度的に職種が確立していないため、職業的にはアルバイトやフリーターと同じ扱いになります。税務所にバレエダンサーとして職業を提出している場合は自由業(自営)扱いの方が大半になります。
日本のバレエ団では一定のお給料が支給されないカンパニーが主流のため、生活費はバレエ団以外の仕事で収入を得ることが必須になります。1つの公演のチケットを自分で受け持ち売りさばくことが必要となるバレエ団も多いです。
バレエ団の公演は日本に1つの文化として定着していないため、バレエ公演自体の数も少ないためチケットを売りさばいたとしてもそれだけでは十分に生活ができないです。日本のバレエ団のバレリーナの方々はバレエ団以外のアルバイトや家族に養っていただいているのが現状です。
さて男性のバレエダンサーの収入ですが、どのように日本で生活費プラスアルファを得ているかというと、次のようなことが主な収入源となっています。
- バレエ教室のゲストダンサー
- ジョイント型のコンサートで大人バレエのパドドゥ相手
- 自分のバレエ教室やパドドゥクラスの教えでのレッスン費用
実際にバレエ団に所属したり、フリーランスで名前が売れている男性ダンサーであれば、男性バレエダンサーの数も少ないため、年収1000万前後は可能です。
ただ年齢とともにバレエダンサーの寿命が短くなるため、サラリーマンのように40代以上でも同じ高年収を得られる保証はないため、3番目の自分のバレエ教室を開催することを現役中に始めるダンサーも多いです。
また売れている人気のあるバレエダンサーでも、公演で活躍しそれが年収に直結する海外のバレエダンサーと違い、日本の場バレエ団に所属している男性ダンサーは、バレエ教室のゲストダンサーとして収入を得ているという職業的に大きな違いがあります。これが日本では発表会ダンサーといわれる由来になります。



バレエ公演で収入を得られ同時に生活の保障もされることを希望されるのであれば、海外のバレエ学校へ留学やワークショップを受けながら、海外のバレエ団のレベルに合わせ、最終的に海外のバレエ団へ所属されてキャリアアップを図った方がベストです。
バレエ学校へ男性が留学するときの注意点
男性バレエダンサーの身長
海外のバレエ学校では男性の場合、特に身長の条件をクリアしている必要があります。
年齢別によって身長の高さが違ってくるため、学校の情報を探したり学校へ問合せしましょう。
最終的にバレエ団へ就職を考えるのであれば、海外のバレエ団のオーディションでは男性は175cm以上の場合が多いため、日ごろから食べるもの、食生活、睡眠には十分留して生活する必要があります。
日本のバレエダンサーでも、身長が極端に低い場合女性とのパドドゥでは女性がトーシューズで立つと男性より高くなって、踊りにくくなることが多々あるため、身長の高いバレエダンサーが好まれる傾向があります。最低でも170cmは超えていないと日本でも職業として厳しいです。
バレエ留学中にアダージオやパドドゥを指導できるようなレベルになろう!
日本ではバレエ教室によってパドドゥのクラスも若干ありますが、まだまだ大半のバレエ教室では通常の女性だけのクラスが多く男性のダンサーと踊れる経験をすることが可能なお教室はかなり限られています。
そのため女性が踊りやすいようにアダージオやパドドゥができる男性のバレエダンサーは発表会のゲストダンサーに呼ばれる回数も多くなり、評判がよければ毎年発表会のたびにお仕事が頂けるためwinwinの関係になれます。
そのためにもバレエ留学ではパドドゥのテクニックを手に入れられるように、海外の生徒さんの相手やライバルとも競えるメリットがあります。
ぜひ短期でも長期留学ではパドドゥやアダジオの上達と経験を積めるいい機会になります。海外のバレエ学校では長年パドドゥを教えていらっしゃる経験が多くレベルの高い先生方がそろっています。
さて、どの海外のバレエ学校に留学すればいいのか?悩むところですが、次で海外のバレエ学校に留学して国内や海外のバレエ団で活躍されている男性バレエダンサーのバレエ学校のリサーチ結果になります。バレエ学校選びの参考になると光栄です。
有名男性バレエダンサーが留学したバレエ学校まとめ
男性バレエダンサー | バレエ学校 | バレエ団 |
山本 雅也 | オーストラリア バレエスクール | ロイヤルバレエ団で研修 K-BALLET COMPANY |
堀内 將平 | ジョン・クランコ バレエ スクール(ドイツ) | ルーマニア国立バレエ団 K-BALLET COMPANY |
渡邊 峻郁 | モナコ・プリンセスグレース ・アカデミー | トゥールーズ市立キャピトル バレエ(フランス) 新国立劇場バレエ団 |
平野 亮一 | ロイヤル・バレエ団に 研修後、入団 | |
木本全優 | ロゼラ・ハイタワー・ バレエスクール パリ国立音楽院 (コンセルヴァトゥール) | ドレスデン歌劇場バレエ団 ウィーン国立バレエ団 |
吉山シャール ルイ ・アンドレ | イングリッシュナショナル バレエスクール ヒューストンバレエ ・ ベンスティーブンソンアカデミーHBⅡ | ヒューストンバレエ団 |
江部直哉 | カナダ国立 バレエスクール | カナダ国立バレエ団 |
待山 貴俊 | ロシア国立 ワガノワ・アカデミー | ベラルーシ国立ボリショイ劇場 |
バレエ学校へ男性が留学するときのメリットとデメリットまとめ
バレエ学校へ男性が留学するときの注意点として、留学するバレエ学校を選定する必要があります。その他にバレエダンサーとして生活の保障もあり、舞台をするだけで収入が得られる人は日本のバレエ団ではかなり厳しい状況です。
また海外のバレエ団で20代活躍したとしても退団後帰国した場合、日本のバレエ関係者と接点が少ないため発表会のゲストやジョイント型のコンサートでの依頼も少なく限られた契約になってしまいがちです。
国内外のバレエ団で活躍している間に30代以降の身の振り方を考えながら将来の収入源や仕事について本格的に準備することを念頭に置いて職業を選びましょう。